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連載「(仮題)かゆいところがございますよね?」~人間カオスⅠ~
- 2018/09/19
- 連載
美容師生活30年を過ぎ、今まで関わったお客様はもう
数えきれないほどの方々とお会いしました。
それだけたくさんの人と関わると、色んな出来事は
あるものです。
そんな今までの経験の中から、笑える出来事、
笑えない出来事、人間って面白くもあり
難解で不可思議なところを面白おかしく
シリーズで綴ろうと思います。
注※内容は人に対しての侮蔑などでなく、出会い 経験させてもらい成長させて頂いた感謝の
ブログになります。内容に関するものに、深い意味はなくあくまでも経験談を書くものとします。
個人情報保護の観点から、人の名前などは 仮名とさせていただきます。
軽い気持ちで人の奥ゆかしさ、変さ、愛すべき個性などを楽しんで頂ければと思います。
シリーズ 「回想録:(仮題)痒いところがございますよね?」
当時は即戦力として採用してもらった。
ここのDサロンでは、技術よりも経営の面で凄く勉強になったサロンだ。
オーナーはどちらかというと、技術肌ではなく、経営肌。
色々と教えてもらった。このDサロンで働いてなければ、経営に興味は
なかったかもしれない。
そんなDサロンは、過去に引き続きなかなかディープな方との出会いが多かった。
この時期は、バブル崩壊後の不景気時期ではあったが、メディアでは
美容業界の盛り上げのため、「カリスマ美容師」というブームがあった頃だ。
わけのわからん「カリスマ」という人間の領域を超えた表現の仕方が
美容師の感覚も狂わせ、お客様の感覚も狂わせた。
そんなに上手じゃない人もこのブームに乗って「カリスマ」と言われ
今まで、ブラックな労働環境の美容界(内内の話)に華やかさが
プラスされ、キムタクが美容師役でドラマにまで出て
一躍、美容師という仕事が人気の職業になった。
美容師になる人も増え、美容学校もウハウハだっただろう。
東京の有名サロンは「タレントか?」というほどの扱いで
まさに美容バブルであった。
そんな周りの美容室に対してのイメージが、ある意味今までの
美容師とお客様の環境も変わりつつあり、以前よりは
仕事がしやすくなったのは事実。
以前までは、芸能人の切り抜きを持ってきて「こんな感じ~」で
いざ鋏を入れて仕上げると「全然違うやん!!!!」という
トラブルも多かったが、このころから、一般の方の
美容に対する意識が変わったことにより
等身大の自分に、この芸能人のテイストを入れるという認識が高まり
「絶対これじゃないと無理!!」というオーダーは減りました。
ですが、こだわる方はこだわります。
■ブルックシールズ事件
僕がDサロンに就職して、Oさんからの引継ぎで色んなお客様の
特性を聞く中で、
Oさん「木村さん、Nさんは要注意ですよ」
僕「ん?何の注意ですか?」
Oさん「Nさんのカウンセリング毎回1時間くらいかかるから」
(爆)。。。。。
カウンセリングとは、お客様のご要望をお伺いする時間。
僕「1時間???・・・なんでですか?」
Oさん「こだわりが強すぎんねん(笑)」
僕「はぁ・・・・・・??」
Oさん
「例えば、赤い服が欲しいって言うたとするでしょ?
じゃぁ赤いの服ですね?って返すでしょ?すると、
でもなぁ~青い服も欲しいねんな~ってなる。
どうしましょうか?どちらかと言えば赤い服の方が
似合うと思いますよ?って言うでしょ?
やっぱり赤やめよう!緑にしようかな?」って
どんどん増えていくんですよ。」
僕「そんな感じで毎回1時間。。。」
Oさん「だから、毎回Nさんの場合予約いただいても
次2時間空けないと、次のお客様の予約取れないんで
気を付けてくださいね」とのアドバイス。
その時、僕は会話の持って行き方でなんとかなるだろうと
甘く考えていた。
Oさんが退店し、僕がスタイリストとして
様々なお客様を担当する中で、ついにNさんを担当することになった。
でも、変な自信がありなんとかなるだろうと思っていた。
その時はパーマでご来店。
いざカウンセリングに入ると、Oさんが言ったパターン
どうりの展開に。。。。。
こちらからの提案をしてみようと思い(早く進めたかったので)
提案したが、まったく受け入れない (爆)
そして、途中から
「ブルックシールズみたいな感じにしたい」と言われ
えっ?・・・・・・・急に???いきなり???
今の時代、「ブルックシールズ」と言われると
スマホやパソコンで簡単にイメージの共有が出来るが
当時はそんなものはない。しかも、ガンガンにテレビ出て
認識してるわけでもなく、何年か前に見た
ネスカフェのCMに出てたイメージしかなく、それも
うろ覚えなので、明確に記憶してるわけではない。
当然、「う~ん。。。。すみませんよく覚えてないです」
というと、
「長さはこの辺で~前髪はピィ~ってなっててここがふんわりしてて」
まったくわからん!!爆
関西人はとかく、擬音が多いのでもう無茶苦茶である。
Nさんは、背中まで伸びた髪をばっさり切りたいという。
僕のブルックシールズイメージはこれだった。
もう、これのイメージしかなかった。
しかし、お互いの言うことの相違がハンパない。
「これ。。。1時間以上かかるなぁ。。。。」
その当時は、美容師のカウンセリング法というのは体系化
出来てるわけでもなく、もう個人の感覚でのカウンセリングを
していた時代。
あ~でもない、こう~でもないと延々続く。。。。すると
Nさんが「もうとりあえず切って!!」
僕は、安全策を取り一旦鎖骨あたりにベースカットをすると
Nさん「長い!長い!!もっと短く!」ということで
肩に当たるくらいに切ると
Nさん「肩上やったはず!」
僕のイメージは絶対肩上ではないという記憶があり
僕「いや、肩上ではなかったはずですよ」
Nさん「いや、今もこれ長いわ。肩上まで切って」
僕も我慢していたが、失敗は嫌なのでこう言いました
僕「僕は絶対違うと思うんですけど、切りますよ?
その代わり後から言わんといてくださいね!」と
半ギレで伝えると
Nさん「いいから切って!!!」もう喧嘩である。
僕も若かったということもあり、尖がってたので
もう知らんぞ!!という勢いでカット。
すると、
Nさん「短ない?」
僕「肩上ですよ」
Nさん「こんなん全然ちゃう!!!」
他のお客様も全員こちらを見る
腹立つやら、恥ずかしいやら今でも思い出す
カオスな感情。。。。。
僕もついにキレてしまい
僕「だから言うたでしょ!!!こんな短いわけないですよ!!」
するとオーナーがまぁまぁまぁと仲裁。
しかし、こういうときも悪モノは「美容師」なんです。
こちらが謝るしかなかった。
それ以来Nさんは来なくなった。。。
当然です。
気に入らないスタイル作られ、お金も払う。
そらぁ~来ませんよね?
と敵対心しかなかったが、でも僕はこれがきっかけで
自分の仕事の勉強量、コミュニケーション力は大丈夫なのか?
という疑問が生まれた。
Oさんにしろ、僕にしろカウンセリングに1時間もかかってしまうのは
その方の悪い癖だけでなく、こちら側のインサイドワークもないんじゃないのか?と
この出来事で僕は真剣に美容師の仕事をしようと決めた。
お客様も幸せ、僕も幸せ、お店も幸せになるためには
施術する人間にかかってるということを気づかせてくれた。
今では、Nさんに感謝している。
でも、もう2度とお会いすることはないと思います 爆
それから数週間後、Nさんのご主人と言う方からご新規で
予約が入った。。。。。。滝汗
うわぁ。。。。。。なんかある。。。。。
絶対なんかある。。。。。。
続く。
- 住所
- 〒552-0007 大阪市港区弁天町1-6-38オトハウス101/dd>
- 営業時間
- 火・木・金・土 AM10:00〜19:00/ 水・日・祝 AM10:00〜18:00
- 定休日
- 毎週月曜日・第1、3火曜日
- 最寄駅
- 弁天町駅
- 電話番号
- 06-6576-7009
【大阪市港区弁天町の美容室|「Marvelous Hair Make Factory」】
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