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連載「（仮題）かゆいところがございますよね？」～不条理の向こう側～
- 2018/08/03
- 連載
美容師生活３０年を過ぎ、今まで関わったお客様はもう
数えきれないほどの方々とお会いしました。
それだけたくさんの人と関わると、色んな出来事は
あるものです。
そんな今までの経験の中から、笑える出来事、
笑えない出来事、人間って面白くもあり
難解で不可思議なところを面白おかしく
シリーズで綴ろうと思います。
注※内容は人に対しての侮蔑などでなく、出会い 経験させてもらい成長させて頂いた感謝の
ブログになります。内容に関するものに、深い意味はなくあくまでも経験談を書くものとします。
個人情報保護の観点から、人の名前などは 仮名とさせていただきます。
軽い気持ちで人の奥ゆかしさ、変さ、愛すべき個性などを楽しんで頂ければと思います。
シリーズ
「回想録：（仮題）痒いところがございますよね？」
～不条理の向こう側～
１店舗目のサロンから戦力外通告を受け
当時のマネージャー河村氏から
通告後１週間以内にオンボロアパート大和荘から出ろと言われ
「えっ！？急にクビって言われてさっさと出ていけと！？
いやいやいや、ふざけんなよ！！そんな急に引っ越し出来るかぁ！！」
（心の叫び）
河「今月末には出て行ってもらわんと、家賃発生するぞ」
僕「このまま高槻のどこかで働いてって出来ないんですか？」
河「出来へん。それしたかったら自分で新たに借りんとあかんわ」
僕「。。。。。。」
敷金などのお金もなく、当時の給料８万円では貯金の貯の字もない。
ここはすんなり実家に帰るしかなかった。
社会の仕組みというものがわからず、自由な可能性を考えたが
世の中そんなに甘くない。
父親に引っ越しを手伝ってもらい実家に帰ることにした。
どこか気楽さもありながら、無職というのは世間体もあるので
とりあえず仕事探さないと。。。。。美容師以外で。
「もう、美容師はええわ。拘束時間長いし、給料安いし
気使わなあかんし、立ち仕事やからしんどいし。なんもええことあれへん。
友達と休みも合えへんし、なんで美容師なんかやったんやろ？」と
当時の求人雑誌「とらば～ゆ」を見ながら新たな職業を探した。
「あんまり人と関わる仕事はしたくないしなぁ～」と探していたところ
アパレル系の商品を仕分けする倉庫の仕事があった。
「仕分けかぁ～。。。。あんまり人と関わらんで黙々と仕事出来るな。
よし！電話しよ！！」
求人情報誌を見ながら電話をし面接日も決まった。
今まで、接客業をしてきたから、まったく違う仕事をするワクワク感に満ちていた。
両親に面接のことを伝えると、意外にも父親が反対した。
「お前は美容師をやれ。美容学校代も出してんねや。国家試験も通ってないやろ？
せめて国家試験取ってからにせぇ」
当時の父親の威厳は絶対的なところがあった。
正直父親には仕事について一言も言われたくなかった。
何故なら、ガンコな職人気質で口下手。
気に入らないことがあれば、すぐに会社と喧嘩して辞め
無職。。。。。。
再就職が決まり働きだすも、また喧嘩して辞める。。。。
そのたびに、昼間っからゴロゴロ。
サンテレビの時代劇や洋画を見る毎日。
中学校から帰ってくるといつも寝間着姿で優雅にテレビを見てる。
その割に親としての威厳を保とうとする姿にむかついた。
「仕事も行かんと、昼間からテレビ見て、飽きたらパチンコ行って
夜には酒飲んで、毎晩晩飯時に説教かい！！そんな親父が何言うた？」
「国家試験も通ってないやろ？せめて国家試験取ってからにせぇ」？？
どの口が言うとんねん！！
その流れで父親は、遠い親戚筋に大阪で美容室をやっているというので
そこに頼むと言い出した。
僕は、「いや、面接決まってるし」というと「断れ！」の一言。
非常に強権的だった。といっても、まだ未成年。
実家に帰ってきてるという身分を考えれば、素直に聞くことにしようと思った。
その遠い親戚の店というのが、大阪市の端っこにある区
大阪市内どうしながら地下鉄で１時間近くかかるという
無駄に遠い場所にあった。
形上の面接なるものを受けた。正直言って親は遠い親戚を知っているが
僕の記憶にはほとんどないくらいの遠い親戚。
だから叔父さんや叔母さんの顔など覚えていないし
叔母さんになる人は、ほとんどの親戚が知らないと思う。
そのお店の名称をサロンＡとして呼ぶことにします。
サロンＡは、３階建ての建売住宅の１Ｆがサロンになっている。
遠い親戚の叔父さんは、警察関係の仕事をしている。
実質のオーナーではあるが、先生的な人は奥さんに当たる方。
スタッフにはやっとシャンプーが出来たくらいの女の子が一人いた。
１つ年下で、中学卒業後それこそアパレルの倉庫で商品管理の
仕事に就いたが、美容師の夢が諦められないとして
入ったらしい。
そして話が進み働くことになるのだが...........
客が全く来ない店！！！（爆）
１日平均来店人数２人。。。。。
土日が少し忙しくなるくらいのサロン。。。。
平日、サロン内はその女の子と２人。
先生は上に上がって家の掃除。
おばあちゃんがいてるのだが、足が悪くて
ほぼ２階で生活していた。
当時、中学生の不愛想な娘もいた。
しかし、毎日が暇。。。。。スタッフの女の子に
話しかけるも、性格的に大人しくレスポンスが悪い。。。
なので、サロン内で静寂の中の２人ということになる。
「えらいとこ来てもうたな。。。。でも、親戚の手前
速攻辞めるわけにいかんしな。。。。。」
と悶々と考えて数日後その女の子は来なくなった。（爆）
マジかよ！？・・・・・
しかし、救いは土日に来る、平日はメーカーでお勤めの
元美容師の営業マンの蔵元さん。
非常に穏やかでユーモアに溢れた方で
優しく接してくれました。
その方が来られる時だけ何かやる気出た(笑)
相変わらず平日はお客様が来ない、来たとしても
先生の接客に問題あるよな～と思っていた。
施術中に咳やくしゃみするときに
顔を外さず、お客様の頭の上でする・・・・・汗
愛想もあまりなくお客様がリピートしない
原因があるのがわかった。
これは大事なことではあるのだが、
オーナーである警察関係に努める叔父が
極度の潔癖症。
床掃除はモップなど使わせてもらえない。
雑巾を濡らし、手で拭き、鏡もスプレイヤーの水禁止。
硬く絞った雑巾で拭き、その後乾いた雑巾で２度拭き。
セット面の裏側も必ず埃を払い
ピッカピカの状態でないといけない。
でも、お客さんが来ない。。。。。。。
この掃除は何のためなのか？。。。。。
毎日が年末の大掃除並みの掃除。
それだけに足らず、自宅の買い物、ある時
先生が買い物中、階上からおばあちゃんが呼ぶので
上がったことない２階へ上がるとおばあちゃんが
倒れている！！！
えっ！！？？？？・・・・・・・
足が悪いが、自力でトイレへ行こうとして倒れた
らしい。
下半身に力が入らないおばあちゃんを持ち上げ
トイレに移動し、下着を脱がし
排泄が終わるとまた下着を上げ車いすに戻す。。。。。
やったことないのに今考えるとよくやったなと思う。。。
卵が安いからといって、買いに行かされ
丑の日と言えばウナギを買いに行かされ
その割に１度もご飯をごちそうになったことがない （爆）
最初は修行と思って我慢していたが
時間の無駄のように感じた。
そんな暇な店なのに、新たに女の子２人入ることになった
大丈夫か？この店？？？？。。。。。。
新たに女の子２人入って今度は色々と教えるわけだが
毎晩、１９時に帰ってくる叔父は大体酒を飲んで帰ってくる。
そのたびに説教される。
掃除が出来たないのは君の指導が足りない。
親の育て方が悪い。
甘えて育ってるなどと言われる。
僕は今までのうっ憤が溜まり爆発してしまう。
「俺はアンタんとこの家政婦ちゃうんじゃ！！
こんな店辞めたる
わ！！」（爆）
「辞めろ！お前なんかクビじゃ！！」
店を飛び出し自宅に付くと、どうやら親に電話をしてたらしく
散々「育て方が悪い！育て方が悪い！」と罵られたようだ。
やっぱり最初から行くんじゃなかった。。。。
社会に出て初めて不条理というものを味わった。
【ワンポイント】
不条理：
カミュの不条理の哲学によって知られる。（デジタル大辞泉より引用）
「最近の若いやつは辛抱、我慢が足りん。」
自己が成長する上で、様々な壁がや困難がありそれを乗り越えるための
辛抱と、筋道や道理に合わないことの辛抱とは違う。
「若いころの苦労は買ってでもしろ」というのは、不条理に耐えろということでもない。
不条理を味わうということは、ただの経験でしかなく、そこから教えられることは
ただただシンプルに「嫌やったこと」に過ぎずけしてきれいなものではない。
「それで気づけたから今があるやん？」というポジティブな発想もアリだが
ただ時間の無駄ということもあると思っている。
続く。
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